おと・な・り

映画鑑賞

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私は「音」が好きです。
音楽も好きですが、それ以前に音が好きです。

特に好きなのは、砂利道を自転車で走る時にタイヤが砂利をはじく、プチプチした音。
古い車のカッチンカッチンというウィンカーと、ハンドルの擦れるギチギチした音。
爪の長い店員さんが服を畳むときに机に当たるカチカチ音。

今でこそASMARが流行し、音に特化したコンテンツも増えてきましたが、この映画の公開は2009年。ASMARの先駆けと言っていいほど、生活音を大切に大切に撮られた作品です。
イヤホンやヘッドホンをしてじっくりみたい映画No.1。


初めて好きになったのは、あなたが生きている音でした。

映画情報

2009年5月公開 119分
監督:熊澤尚人
 脚本:まなべゆきこ

岡田准一さんと麻生久美子さんによるラブストーリ。
挿入歌は、はっぴいえんどの「風をあつめて」。

あらすじ

カメラマンの野島聡(岡田准一)は、友人でもある俳優SHINGO(池内博之)の写真集を撮ったことで有名になり、仕事が増えていく。しかしながら、自身が本来撮りたかったのは風景写真であり、どちらの道へ進むか葛藤する。
聡の隣に住む、登川七緒(麻生久美子)は、フラワーデザインナーを目指し、花屋で働きながらフランス留学を控えていた。

都会の古アパートに住む隣人同士だが、生活リズムの違いから、二人が顔を合わすことはなかったものの、壁越しに聞こえてくる何気ない生活音から、次第に心惹かれていく。

そんな人生の岐路に立つ30才の2人だったが、穏やかな日常に雑音が入ってくる。
友人の失踪と見知らぬ女性、一方的な好意と裏切り。

上手くいかない苛立ちと、「30才独身」というレッテル。

2人は出会うことができるのか。
想いが通じ合うことはできるのか。

30才、等身大のラブストーリーです。

感想

部屋のゴミを集める音、加湿器の水を変える音、ドアを閉める音、鍵の束がぶつかる音、コーヒーの豆を挽く音、自転車の音・・・映画を観ているのに目をつぶりたくなるような、すべてが心地いいんです。

なのにそれぞれの職場のシーンになると、人も増え、それに伴い音の数も増え、うるさいというか、とても疲れてきます。

さらに話が展開していくと、特別な音ではないのにもう雑音も雑音で、早く消えて!!と思うくらい心をかき乱されます。ストーリ自体は、ビックリ仰天!というほど何かが起こるわけではないのですが、すごくうるさく心地の悪い時間が続きます。
なので不思議と、七緒の空気感や、お互いがお互いの「音」に癒されていく、あの穏やかな感じを共感できてしまう映画です。
音ってすごいですね・・・


この映画を初めて観たのは、まだ10代の頃。
その時は、大人なラブストーリーの印象が強く、こんな暮らしをしてこんなロマンチックな恋愛をしたいと憧れ、とりあえず「はっぴいえんど」の曲ばかり聞いていました。

しかし、30代に入ってから観ると、仕事でもプライベートでも何かしら壁にぶち当たったり、気持ちが悶々とする出来事に遭遇したり、このままでいいのか悩んだりするあの負の時期がリアルで、共感したとともに、あぁ私も大人になったと実感しました。

音だけでなく、ストーリーも楽しめるお年頃になり、得した気分です。

映画メモ

「音」に嘘がないよう、こだわって丁寧に撮られたこの作品。
熊澤監督曰く、岡田さんと麻生さんの演技が素晴らしく、4、5回以上カットを撮ってもNGはなし。微妙なバランスを探りながら作られたようです。

また、本作では「一度も顔を合わせたことのない隣人」という設定だったため、一緒に撮影するシーンがほとんどなかったお2人ですが、隣室のシーンでは、映っていない方も壁越しにお芝居をしていたため、会っていないのに会っているような気分になったと話されていました。

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